●住民への情報公開
高齢者のための介護保険と聞いて、イメージだけで80%の人間が総論で賛成するが、ではその詳細をご存じですかと聞いたら、ほとんどが知らないことが多かった。昨年の秋から家族介護のアンケート調査を実施した結果である。直接対象となる人は基本的に高齢者であり、いわゆる当事者に入る人達である。
今更新しい制度のことなんか知らなくても国がなんとかしてくれると思っていると間違いで、自分のことは自分で主張しなければこの介護保険は自分たちを救ってくれない。国民の10%しか当事者が居ないと言うのもこの制度が全体議論にならないの弱点である。これだけ毎日のようにメディアを騒がしておきながら90%の人達は対象にならず、自分には関係ないと思っているのが議論も盛り上がらない証拠ではないか。
行政の情報の伝達方法にも問題があり、情報弱者の当事者(高齢者)にどのように正確な情報を伝えるかということは、行政の責務であるが212市町村の自治体の中でどれだけ正確に伝えることができただろうか。
新聞の文字は小さくて見えないし、テレビで特集している事例と自分のケースは違うし、もう少し身近なところで話を聞きながら自分の場合はどの様になるのかを聞きたいと思う。アンケート調査をしながら制度の説明をすると、殆どの ひとは自分が想像していた介護保険と違うのにおどろいていた。
この制度は金銭に余裕がある人には非常によい制度である。厚生省が言う月額年金23万円以上の人と高額貯蓄のある人には介護保険料と1割負担額はさほどの負担無く支払うことできると思うが、年金未成熟時代の高齢者は月額5万円の年金で介護保険料と1割負担額を支払えるだろうか。保険料だけ徴収されて介護のサービスを辞退せざるをえない状況が見えてくるのは考えすぎだろうか。
●住民参加について
わが街は3400円と介護保険料を発表してから町内会を主体とした説明会を100回以上開催するとのこと、決まったことを報告することが趣旨の従来型説明会から脱却していない。介護保険法は住民参加をうたった法律であり、介護保険事業計画策定委員会を義務付けしているが委員会を公募した自治体は3割であり、議事についても一方的な内容で核心部分を議論しているとは言いがたい内容である。本当の住民参加をする気持ちがあればこの介護保険制度はチャンスの可能性さえ生まれてくる。「権利と義務」「要望と責任」を区別し、行政がしなければならないこと、住民がしなければならないことの住み分けを図りながら協働する良い可能性もあったのではないか。これからにわか仕立ての委員会を急きょ開催する自体もあり、制度の本旨である住民参加はどこに行ったのだろうか。
●独自サービスへの財源
いろいろなメディアを見ているが、従来の高齢者福祉予算の財源が今後どの様に使われるかとの議論が皆無である。介護保険では老化に伴う高齢者を救済する制度であり、従来の高齢者への措置として予算が不要になる。人口20万人の釧路市で在宅福祉対策費が1.25億円、施設入所対策費で7.5億円は軽減されるがその情報が行政から提示されていない。
国民健康保険の不払いがある住民は多分介護保険も支払うことができない可能性があるし、この不景気で生活保護者への救済にも財源が必要になることは十分理解できるが、そのことを隠蔽しても何も始まらない。要介護者がいま欲しいサービスは移送サービスである。このことは昨年行ったアンケートでも明示されており、交通手段が少ないため老建施設に行けない実態があったり、要介護者の介護に追われて買い物にも行けず、満足な食事の用意もできない実態も報告されている。介護保険で上記のサービスを提供することは保険料に跳ね返るために、自治体の独自財源で制度化することが望ましいのではないか。
●施設サービスにかかる分の保険料
介護保険に関する施設は特別老人ホームで31.5万円/月、老人保健施設で33.9万円/月、療養型病症群で46.1万円/月の費用がかかる。厚生省の参酌標準では施設の割合は8 : 7 : 5 が望ましいベット数であるが。しかし制度の実施期間は基礎自治体であるが、事業者の指定は北海道である。釧路市の場合は平成12年度で待機率は特養ホームで26%、老健で11%であるが、療養型病症群(病院施設)は?35%で空きベットが135ベットもあることになる。
札幌市はこのベット数を極端に減らして介護保険料の減額対策を講じている。2市の事例は療養型病症群をコントロールすることにより、介護保険料の掛け金を調整できるかを物語っているのではないか。療養型病症群と違い特養ホームでは本格的な医療行為をする設備はないが、しかし、終の棲家(ついのすみか)とすることで医者の往診を受けながら生活することができれば施設の建設方向は特養ホームに特化していくことは可能でないだろうか。病院は治療のための一時的な機関であり、急性期な治療行為が終了すれば自宅とか特養ホームに戻り、治療から生活をケアする施設が大切になる。健康保険の社会的入院を減少させようとする政策が介護保険費用を増加させる一因になるとは皮肉な減少である。
●高齢者福祉予算はどこへ
釧路市の介護保険でのサービス費用総額は平成12年度で施設居宅サービスが72億円、特定疾患が4億円、高額介護が1億円で合計77億円となり、利用者負担分の1割を控除すると70億円となりその内12.5%は自治体が負担するため5.6億円が負担増となる。
しかし、減額になる部分があり、従来の高齢者福祉予算の在宅福祉対策で1.25億円、施設入所対策費で7.5億円で合計8.75億円。差し引き3億円程度余剰金が出る計算になる。では、この3億円はどの様に使用されるかということは未だに議論されて無い部分であり、他の自治体でもこれから介護保険事業計画策定委員会で活発な議論になるはずである。しかし、この内容を自治体側から積極的に切り出すかと考えたらこの財政難の時代では無理かもしれない。開かれた行政を進めるためにも責任ある市民が積極的に提案し、政策の財源も提示しながら市民本意にたった介護保険制度をつくりあげることがこれからの望まれることではないだろうか。
今回は第2号保険者(40才?64才)が身近に感じる保険料を中心に考えてみました。
財源から見てもこんなに課題のある介護保険です。でも政党間の思惑に流されなく、介護者に今何が必要かとの思い受けながら制度を廃止することなく、改善しながら進むことか今大事だと考えます。当事者(要介護者と家族)の気持ちになり問題点を浮き彫りにして、課題を解決しながら行動しなければなりません。