ミニ論文集

  

住民参加型広報誌とは、一人でも多くまちへの関心を高め、

愛着や誇りを持っていただけるような広報誌にすること


芽室町総務部企画調整課広報広聴係長
西 科  純


 芽室町の総合情報誌『すまいる』(以下すまいる)は、平成11年度(財)日本広報協会主催全国広報コンクールで第1席(自治大臣賞)をいただきました。まだまだ『広報えにわ』の比ではありませんが、広報誌のあるべき姿への発展途上中です。編集者としては、自治体学会や土曜講座などとの大きな係わりを感じていますので、その思いを記していただきます。

 原点は『若手職員の議論参加』

 私が広報担当者となったのは平成8年4月のことでした。平成7年の自治体学会政策フォーラムで『政策広報を考える』などの話も担当となる前に参加して聞いていましたし、平成7年からの土曜講座に参加して自治体職員としての前向きな自分を感じているときでした。移動前から、わが町の広報紙の問題点は感じていました。全国に共通する自治の課題などを捉える自治体学会への入会は自治体職員としても、広報担当者としても、刺激的でした。   森啓教授や木佐茂男教授には、多くのアドバイスもいただきましたし、各自治体の広報担当者、自治体学会員の皆さんとの情報交換は広報誌づくりに大きく役立ちました。人事異動後ただちに、22名からなる若手プロジェクトグループをつくり徹底議論し、広報誌タイトルも住民公募しました。『住民参加の前に職員参加あり』ということを念頭に、縦型で理事者をはじめ上司だけの意見を聞くだけの編集、企画ではやはり町民のための広報誌はできないと考えたことも土曜講座などの影響が大きかったと思います。
 刷新にはエネルギーを使いますが、前担当者からの引継ぎやその前からの前例踏襲をどう克服するか、それは強い問題意識と研究力しかないと思います。このときの職員との議論が現在の『すまいる』の原点になっています。

 市民巻き込む広報広聴システム

 現在は市民による広報誌『すまいる』モニターを設置しています。中学生からお年寄りまで14人から提言をいただいています。ここで前月号の評価と次号の特集への企画案をいただいてます。方針的な助言は年2回モニター会議を開催し、参考にしています。
 広報誌は自治体の政策そのものですから、『PLAN−DO―SEE』というサイクルが望ましいわけです。同じ『つくる』ということでも建物をつくるのとは違い、やり直しがきき、次もまた次も発行しなければならないわけですから、出せば出すほど充実していかなければならないと思うのです。広報誌もマネジメントシステムを導入しないでいいいいはずがありません。一人よがりで、作家や編集者気取りでいるわけにはいきません。可能なかぎり総合的につくっていく。これが広報誌『すまいる』の制作体制の根幹をなすものだと言えるでしょう。
 今後は広聴機能を充実していかなくてはならないと思います。『政策を編む』と言う観点で広聴システムを導入しなくてはと考えています。広報誌ともリンクしてしっかりと自治体内部に根付かせたいと構想を練っている段階です。広義のパブリックコメント制の導入も検討したいと思います。さらに、現在は『音声広報』、コミュニティFMの導入も検討しています。現在同報無線の整備を進めていますがコミュニティFMの開局も視野に入れています。

 本議会で登場する『すまいる』の名

 議会と『すまいる』は大きな係わりがありました。本議会中、特集記事の表現などをめぐり審議がストップしたこともありますし(北海道町村会発行フロンティア180、1998年春号掲載)、私の処分問題で取り沙汰された議会総務委員会もありました。これが3年間でどう変わったかといいますと、現在では本議会中に情報という観点で、正々堂々と『すまいる』の名が登場するようになりました。たとえば、『すまいるではこう書かれていましたが…』という町議会議員の一般質問や、『すまいるで情報を詳細に公開いたします』といった町長答弁が毎議会されるようになりました。
 また、議会側から『すまいる』と『議会だより』を一体とさせてほしいなどの打診も受けるようになりました。『すまいる』は情報公開を少し急ぎましたが、その精神を貫くことによって信頼を寄せられるようになっていると確信しています。
 現在は分権時代への移行期なので、広報誌がどんどん変化と進化をしていく時期です。地方分権時代に変わる広報誌は自治体のものだけであり、分権の本体が自治体なのに、今変化を見せていない自治体の広報誌は摩訶不思議と言わざるをえません。広報誌はその自治体の姿勢や方針をそのまま表わすものと思います。市民の広報誌に対する要望も高ければ、まちづくりの関心は高いと考えます。また読者の反響でその市民のまちづくり関心度も理解することができます。

 住民参加の一つのツールとして

 『すまいる』が目指しているのは、役場の広報誌ではありません。『芽室のまち』の総合情報誌です。この地に住む町民の方のための情報を掲載したいと思っています。広報誌の表紙に、『住民参加型・情報の共有化を目指します!』と宣言しています。これこそが『すまいる』のテーマです。住民参加に何が必要かというと、情報の共有化が必要になってきます。『情報なくして参加なし』です。では、読者である住民の方は情報をどうするかといいますと、『活用』をしていただくわけです。広報誌は住民参加を進めることができる一つのツールになり得るのではと考えています。
 『すまいる』は行政と住民とコミュニケーションを取ることことも一つの役割だと思っています。僅かながらも進む都市化の中で、どうしても希薄となりがちな人間関係をどういい関係にしていくか、重要な問題です。地域住民同士の理解も必要ですが、住民と行政の理解を取ることも重要です。住民の皆さんに言い分があるように行政にも言い分がある。そうした認識の上に立って、まちづくりを進めていかなくてはなりません。広報誌は町民全戸に配られるのですから、コミュニケーションを取る一つのツールにしなければなりません。行政はこれを使わない手はないのです。そこで重要になってくるのは、情報の共有と活用なのです。
 『すまいる』では、18200人全ての意見を吸い上げることはできませんが、誰もが行政に意見が言えるようなチャンネルを多く設けています。(Eメール、無料はがきなど)声なき声を聴く工夫は怠らない。『住民参加型広報』は何も一人でも多く町民を誌面に登場させる意味ではありません。一人でも多くまちへの関心を高めて、愛着や誇りを持っていただけることが大切なことだと思います。決定前の行政情報を掲載することも重要になってきます。この受賞をバネにして住民の皆さんのための総合情報誌を目指していきたいと思います。理想は住民の皆さんからも『日本一』と言われ評価をいただけるような、そして到着を首を長くして待っていただけるような広報誌にすることです。今はまだその企画をあたためていますが、数年経つと、ものすごい『自治体の政策広報誌』になると思います。

 

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