10月 3rd, 2014

TVとネット

メディア関連, by admin.

 インターネットが日本に普及し始めたのはパソコンのウインドウズ95が販売になった1995年といっていいだろう。その時「マルチメディア」と呼ばれるものがあった。パソコンならば、それまでは文字(テキスト)中心の処理がなされていたものが、写真、音声、動画、アニメーション等様々な形式の情報を扱うことができるようになり、それはマルチメディアパソコンと称されていた。当時のインターネットでは画像の荒いカクカクした動作の動画を送るのが精一杯だった。実験ということで光ファイバーを使って視聴に十分耐えうる動画の再生が行われていたが、そんな実験で「将来は家にいながら好きな映画を見ることができる。放送業界と通信業界の融合もあるだろう。マルチメディア時代がやってくる」などと語られていたものだった。

 テレビとネットの関係を身近なことから見てみる。1995年当時のパソコンにはテレビを見てそれを録画する機能が付加できた。逆にテレビでインターネットを見る装置もあった。どちらも一般的なものとはならなかった。テレビとネット双方を融合することにそれほど価値はなかったのである。そして、この融合しない状態は続いたが、2011年テレビ放送のデジタル化を契機に今度は実質的に融合が進行し始めた。「スマートテレビ」と呼ばれるものが市場に出てきた。(1)ネット経由で様々な映像(動画)を選択しながら視聴できる。(2)ネットで一般的に利用されている(といっても世代による利用率に大きな格差があり、一般的といえない向きもある)SNS(エスエヌエス:ソーシャルネットークサービス)を利用できる。(3)テレビを見ながらWEB(各種ホームページ)を見れる。(4)スマートフォンやデジタルカメラなどの携帯端末の情報を見れる。他にも様々な機能がある。視聴者が見る動画に関して言えば、その配信元は着実に拡散、従来のテレビ局の占める率は減っている。ユーチューブなど、一般市民提供の動画も対象である。

 リビングのテレビに、より能動的な機能がついたということになる。従来は限られたチャンネルと番組の中から選択していたが、今は無尽蔵にある動画から自分で選択することができるようになったということである。ただし、あくまでできるようになっただけであって、実際どこまで活用に至るのかは別問題である。機能があってもその用途がわからないし、利便性も感じない。機能を使いたいと思えるまでに至らない人も沢山いる。今はテレビで「ネットを使わない人」「ネットを時々使う人」「ネットをかなり使う人」「そもそもテレビは使わない人」が混在してきているのが日本の状態だ。

 いずれにせよテレビに流通する情報が個人のため社会のためにより多く生かされればそれは良い事だ。ただし、生かされるまでにはまだまだ数々の”工夫”が必要だ。従来放送を担ってきたところは自分のテリトリーを守ろうとする。テレビ局の番組(放送)でネットを話題にすることは一般化しているが、ネットの本当の価値のある部分については見せていないと感じる。見せれば自分たち(テレビ局)の存在意義が薄れると感じているのかもしれない。”工夫”をユーザー自らが行っていくのか、それともそういうところ(企業)が現れるのか、または従来のテレビ局が自己改革していくのか。このへんの動向は日本人と情報の関係で決まってくると思われる。

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