太平洋戦争の話になる。
日本は米国に圧倒的に国力で劣りながら開戦に踏み切った。一般的には無謀と思われる状況に何故突き進んだのか。それは日露戦争の勝利体験によるものだという説がある。太平洋戦争時の幹部の何名かの日露戦争時の年齢は3、4歳だった(昭和天皇も同様)。日露戦争の勝利は「絵」に表現され、それが当時の子どもたちの心に残った。大国相手でも勝てたという日本人の経験は子どもたちにも伝わり受け継がれていたようなのである。このことが米国相手でも勝てる、という根拠になってしまったという説だ。
私たちは子どもの頃に周囲から自然に影響される。周囲はそれこそ多種多様なメディアだ。家族、街の人、親戚、学校、テレビ、ラジオ、本、ネットetc。私の子どもの頃は父が西部劇が好きでいっしょにTV映画を観た。だからなのだろう、あの広大な大地のイメージや家族で力を合わせる姿が心に残り、無意識のうちにそれらを理想像に描くようになっていた。
子どもたちは大人たちの意識的なメディア環境の中だけではなく無意識的なそれにも影響されていく。このことを大人が認識すること、そして子どもたちが教育の中で学んでいくことは社会が間違った方向に進まないために重要である。