衆議院議員解散による選挙を12月14日に控える。
選挙活動にインターネット(以下ネット)を使ってよいことになったのは前回の参議院選挙からだ。さて、その使われ方はどうなのか。ネットが選挙にどのように影響してくるのだろうか。
蓋をあけてみると予想外にネット活用は低調のようである。マスコミはそのように報道しているがあながち間違いでもないだろう。低調にはいくつかの理由が考えられる。まず、列記しておく。
(1)政党や議員は日頃有権者とどのように意見交換しているのか。意見交換や議論を重視しているならネットもそれなりに活用しているのではないか。重視しているのか?
(2)メール、ブログ、フェイスブック、ツイッターは選挙で使いそうなネットのアプリケーションがあるが、はたしてこれらを使える有権者がどの程度いるだろうか。日頃から使っていなかったら選挙の時だけ使えるような代物ではない。
(3)ネットを使ってみたいと思うが各種の理由により使うことが困難な有権者に対して日本政府は何かサポート(支援)しなければならないという思いはあるのだろうか。これは国民の情報へのアクセスに関する権利に関する考え方に関わる。
(4)他の電子的媒体、紙媒体に比較し、ネットの特徴は「双方向性」にある。発信者と受信者が相互に情報をやりとりできる。民主主義政治に関してこの「双方向性」は本来重要なはずである。例えば政党や議員が考える政策に関して有権者が質問できる。質問から新たな課題や問題が明らかになり政策はブラッシュアップ(磨かれて精度の高いものになっていく)していくだろう。しかし実態としてこの「双方向性」を重視している政党や議員がどの程度あるのだろうか。あるニュース記事で「ネットだといろいろ聞かれて困る」というような旨のことを話す候補者の話を紹介していた。
(5)現在の選挙の方法そのものに問題はないのか。街頭での選挙演説や著名人による応援が議員を決めるのどのような意味を持つのか。スピーカーで連呼される「お願いします」についても同様である。ネットが普及するはるか以前から行われてきたこれらの形態は大きな変化もなく継続している。これが民主主義政治にとって重要であり当選にとって大きな要素であるならば、ネットが介入する余地は少ないのかもしれない。